マルー・クインクエ【動き出すクインクエ】・・・2

場所が変わり廃墟が立ち並ぶ荒野の一角で、固唾を呑み様子を窺っているマルー三隊長の一人『くもま 入道(にゅうどう)』がいた

ギギ…ギ…ギ……ギ

「ああ よしよし、良い子だ」


「……」
ひやりとした汗が流れ落ち入道は緊張している。
速やかに懐から連絡機器を取り出すと文字を入力し始めた。
ふいに指先が止まり目の前にちらつく何かに気付く

ニカァ

尖った翼を持つ不気味な“それ”は入道を掴み、笑った口からは数本の牙を覗かせる。
入道は目を見開き全身が凍り付いた




空をフラフラ飛ぶ“それ”は山が連なる向こう側へと消えて行く
「どこに行ってしまったんだろうね?」
大きな鞄を持ちコートを羽織った中年の男は隣にいるもう一匹の“それ”と共に見送っていた
「まぁ、君がここにいるならいずれ会えるだろう」
男は“それ”の手を掴み歩き出す
掴まれた尖った爪を持つ小さな手は徐々に人の手へと変わっていった

「君と同じ型を探しに」

小さな子供が男に連れられ山の中へと去って行く




――混溶界領・イクナ山原生林
人がほとんど侵入する事なく自然が保たれた美しい山中にマルー人員総出で捜し物をしていた
「ねぇ あや?」
「ん?」
「マルー総掛かりで羽の生えた『鳥じゃない何かを捜せ』って何かただ事じゃないと思わない?」
「うんうん、ついでにこの辺のゴミも集めてこいって夫人ちゃっかりしてるー」 見てよこのゴミ

【マルー・コンビ派 ふたの みち ふたの あや】
双子での連係プレーを得意とする派
派内は全て双子で揃っている
大人っぽく見せようと日々努力するが、何故か幼くなってしまう
法を帯びた『柔らかなリボン』を持ってるが上手く使いこなせず普通のロープを使っている
あやの方が少し髪が長い

「ふたのせんぱーい、今日は終わりしましょー」
「「ほーい」」
山の様に集まったゴミの所で手を挙げてふたの姉妹を呼ぶコンビ派メンバーの双子
「コンビ派、こちらの原生林にはそれらしき物なし…っと」

ガサ…

みちが連絡機器でマルーに報告しながら歩き出す
「…ね…ねえ…みち!」
「え」
大きな草音を聞いたあやがみちを呼び止めみちは近づく。
しゃがんでいたあやの近くには俯せで目を閉じている小さな子供があちこち傷だらけで倒れているのを発見した
「羽は無いけど……行き倒れ!?」
「…生きてるの?」
「呼吸はしてるぽい…」
顔を交互に子供とみちに動かし狼狽えている。みちも同じく焦りが生じた
「どうする? 大ケガしてるよ……」
「……回復する物なんて持ってないし…」
子供の様子がよろしくない事を知り双子は模索


はっ
「ね…ねぇ、今日泊まる宿に濃艶の一般もいるよね」
「…いるいる…………で?」
「ホラ…あの子」
宿に泊まる濃艶一般を思い出しみちは立ち上がる
「あの子…幹部じゃなかった?」
「イヤイヤ、名貸ししてるって噂聞いた事ある!」

「「……」」

二人は黙って見つめ合う。双方とも疑念を持っている様だ
「とにかく宿に連れて行こう!!」
バッ バッ!
「みち、そっち持って」
「おしきた!!」
双子ならではの連係プレーで素早く宿へ運ばれていった
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