マルー・クインクエ【動き出すクインクエ】・・・3

「うちらだけだと気緩む―――、たまにはいいね。こー言うの」
「いつも緩んでる気がするのですが…」
仕事が終わりお風呂上がりのさっぱりミヨシが開放感に満たされルンルンしていたが、一緒に歩くイソネが突っ込んでいる。
その後ろでは髪を上に束ねたれいりが用意された寝間着を整えるのに一生懸命だ

「ラッキー☆ いたよ!!」 大きい頭!!

「え?」
「ねえねえねえねえ!!」
れいりが振り向くと両手に手がガシリ
「急ぎなの、こっち来て!!」
ピョーン
「ええ!?」
すかさず両腕に回され跳ねる様に連れて行かれた
「この事は濃艶幹部にしーだからね!!」
※他派の協力時はその派に報酬を支払わなければならない。特に濃艶は割高
ポイポイとミヨシとイソネの手元に賄賂なる物(イケメンブロマイド)が投げ渡される
「了解です!!」 こっちもラッキー
「……」 じ~~~

ダダダダダダダダ

ミヨシはピシッと敬礼。
イソネはブロマイドに目を奪われ顔が赤い


ガラッ
「この子この子! 何とかなりそう!?」
みちとあやの部屋に引っ張られ中を見たれいりはハッとなり急いで倒れてる子の側へ寄った
「やっ…やってみます!」

「アンジェルサラス」 ポウッ

羽根が七色に輝きだし子供にフワフワ降り注ぐと傷ついていた所がみるみる治っていく
「“回復だけ”は出来るって聞くけどほんとだね」
「うんうん」
「………」 パアアァ
後ろで様子を窺っていた双子が悪気はない一言を言っている

パチ

「「おお!!」」
全回復した子供は大きな目を開け周囲を見渡した
「君大丈夫? 自分の事言える?」
「山で遭難でもした? すっごく大ケガしてたんだからね」
両脇かられいりを挟み子供に詰め寄るとれいりはたじろぎ一歩下がる
「名前…」
「そう! 名前!!」
「…………分かんない」
「うそーん、記憶喪失―――!?」
「あちゃー、滑落して頭打ったパターン?」
「そうと決まった訳じゃ…」
目元を手で押さえ上を向く双子。一方的に進んだ会話にれいりが呟くが、双子は聞いていない
「捜索願い出てるかも」
「うんうん、明日調べてみよう」
「…じゃ、私はこれで――」
自分は必要無いなと感じたれいりは引き戸を開け帰ろうとした
「「まって!」」
ぐいっ
「うきゃっ!」
愛用のロープでれいりの胴を掴み双子で部屋の中へと再び引っ張り込むと座り込んだれいりの前まで来て今度はれいりに詰め寄った。
子供はまだ頭がはっきりしてないのか、キョトンとして三人を見ている
「あなた寮住まいじゃないでしょ」
「この子預かって!!」
「ええ!!?」
れいりは双子の言葉にぎょっとなった
「無茶言わないで下さい!! 家にはおソノさんいるんですよ!!?」
「「………守銭奴濃艶リーダーがいたか…」」 一番危険な人物…
顔を見合わせ腕組みし困る双子
「隠せそうな場所は」
「無いです!」

コンコン

「れいり?」 いますか?
イソネの声が聞こえ引き戸側を見るれいり。
イソネはれいりの大声を頼りにやって来た様で、入る事は無く廊下に立ったままだ
「今リーダーから連絡入りまして『一週間いなくなる。メシの用意しなくてよい』だそうです」 伝えましたよ
伝える事は伝えて自室へと帰って行く
「え」
《ラッキー》 ガシ!
唖然として引き戸を見つめるれいり。
双子は喜び腕同士をガッチリ組んでポーズを取った

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