マルー・クインクエ【戦人】・・・1

「…どう?」
「……」
研究所の処置室。
腕を伸ばしたれいりの皮膚にジンホウが薬液を一センチ程度の円形に塗布していた

チリ…

塗布場所から一筋の湯気が上がる
「……………」
涙目になり口を噤んでは我慢するれいり。
ジンホウは急いでその場所を拭き取り思い詰めた表情に変わる
「―――まだか…」
「っ……でもっ この前より全然平気ですっ!!」
察したれいりは涙を堪え笑顔。
この前テストした時あまりの痛さに『ピギャッ』と悲鳴を上げた自分を思い出していた
「もう治ったし!! まだまだいけますっ…!!」
「ごめんね。本当は血液でも出来るけど、何度も採血してるし負担かけてしまう…」
れいりの手を両手で包み詫びる
「僕は君の傷を癒す事出来ないし、程の薬しか……まいったな、君の痛がる顔見るのは正直辛いよ」

(憂いを帯びた、イケメン!!)

俯き謝罪するジンホウの姿は美しさを漂わせれいりの視界を虜にする
「~~~も、充ー分癒されてますっ どどどどどんどん進めて下さい!!」
「…れいり君、やせ我慢してない?」
「ぜんっぜんしてませぬっ!!!」
〈これに何回騙されてんだ〉
後方で様子を見てたいざないとソルム。
いざないは相変わらずの展開に力が抜けている

「ジン」

「Mが勘付いた」
「!」
「急ぎこの場かられいりを離した方がいい」
いざないとソルムの間を縫い処置室へと入って来たT
「…そうですか。れいり君をマルーへ連れて行かれます?」
「そうなるな」
「!」
れいりの手を優しく握ったまま顔だけを動かす。
れいりも顔を向けるが話の内容に困惑した
「…マルー行ったら二層へ……」
「……」
ジンホウは立ち上がり常に持ち歩くケースを開く
「…テネヴさん、黄金の死神はれいり君のみを探す訳で無いですよね」
「…?」
「これはディックさんの精製液です」
手に取った小瓶を目の前に翳す
「黄金の死神が発明に来れば被害が発明にも降り掛かる恐れがある…そうですね?」
「…ああ」
「この精製液を人気の無い混溶界に撒けば……どうなると思います?」
「…先に釣られてそっち行くな…近いし」
ジンホウの問いに腕組みし答えるいざない
「その他にも釣られてやって来る人達いるかもね♪」 くす
「……! 戦人!!」
「正解♪」
いざないの顔色が変わる
「どちらが先に嗅ぎ付けて来るかは知りませんが、黄金の死神と戦人が鉢合わせする前にマルーで対処する―――…と言うのはどうでしょう?」
「………」
Tはジンホウの話を真面目に聞いている
「れいり君は一旦研究所から離れて貰い、僕の家で様子を見ます」
「ジンホウさん…」
「落ち着いたら残念ですが混溶の別の場所にでもいて貰いましょう」
れいりは自分の為に考えてくれてるジンホウに驚きと申し訳なさが入り混じりキョトンとしてる
「マルーには戻れない様ですので」

「…乗ってみます? テネヴさん」

「いざない、マルーへ」
「あ…待ってくれ…T…」
ジンホウの考えに賛同したTはいざないを連れマルーへ行こうとする
「僕も急いで場所選んで撒きに行くよ。いざない君、彼女には強力な護衛がいるから気にする必要無いと思うけど?」
マルーに戻る事を躊躇したいざないに諭す。
れいりを連れ帰るつもりで居座った意向に反する思いがあったが、すぐ目の前にいるソルムをチラと見、すぐTの元へと駆けて行く
「……」 くす
いざないの様子を見ていたジンホウは静かに笑う
「―――さて、ソルムさん。僕の家には明人がいますがその点は大丈夫ですか?」
〈そうえいば!〉
「…大丈夫だ」
「僕もそう思います」
ソルムの性質も把握していたジンホウは危険は無いと判断し二人を家へ連れて行く事に。
思い出したれいりはハッとしソルムを見ていた
「じゃ、早速取り掛かろう」
忙しなくジンホウとイン、れいり達が動き出す
「申し訳ないけど二人だけで家に行ってくれるかな? 撒き終わったらすぐ行くよ」
「はいっ」
「インは皆に伝えて」
頷きインは休憩室へ。
話を聞いたヘレデム達は急な事であった為驚き寂しそうにしていた

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