マルー・クインクエ【戦人】・・・11

「…あーあ。おわっちゃった」
標的が消え、綺麗になった荒野をMは残念そうに見ている
「ディックぅ~~、もう解いてくれない?」
「え…」
まだディックの作る壁に遮られMは外に出られない。
ディックもいつ解いて良いか分からずずっとそのままでいた
「あ…あの、ミング・カピト………」
「一緒に帰りましょ。大丈夫よ、私の事を思ってしたんでしょ? 怒らないから♥」
「……あの…」
ディックを見る瞳は聖母の様に慈しみに溢れ優しい
「私…やらなきゃならない事あるんだ…だから帰らない!」
「…聞き分けの悪い子は嫌いよ、ディックぅ~」
「き…嫌いにならないでっ…」
涙目になり懇願
「じゃ、帰りましょ」
「…い…嫌」
「ディックぅ~~~」
「~~~ぴぃ」
優しい目が吊り上がった

「事情があるならマルーで預かれば良い。そこならお前の目も届くだろう?」

察したTが後方から現れ間に入る
「この子は大した事情じゃないわ。大方程で遊びたい、美味しい物食べたい、住みやすいから長居したいくらいでしょ」
「~~~それもあるけどもっと違うのもある!」
「それは何? おっしゃい」
「う…」
「今度はだんまり?」
「…………」
ディックは口を閉ざし俯く
「…ディックの意志が固ければずっとそのままで出られないのでは?」
「…」
「頑なな質はお前が一番分かる筈だぞM」
Mはじっとディックを見つめる。
ディックは涙を浮かべ半べそだが、解除する気は全く無い
「…その内ちゃんと話してくれる?」
「…! うん!!」
「程の約束事をちゃんと守れる?」
「うん!!」
「T、あなたも責任持ってディックを見られる?」
「…約束しよう」
「分かったわ、マルーにいなさい。しなければならない事が終わったら帰るのよ」
「…あ…ありがとう」

フッ

折れたMは優しく語り、ディックは満面の笑みで壁を解除した

バッチン

「おしおき♥」
近くに来たMは両手でディックの頬を軽く叩く
「この子はほんっとかわいいんだからぁ♥」
〈あうう…〉
叩いた後笑いながら両頬を握り引っ張ってる。
ディックはあまりの痛さに滝の様な涙が流れていた

「―――で」
ザシュッ じゅっ!
「T」
自分の手を切りTの顔へ押し当てる
「この子に何かあったら分かってるわね?」

じゅわっ

Mの容赦ない攻撃がTを襲う。
Tは顔半分赤く爛れ溶け出すも、怯むこと無く真っ直ぐにMを見ていた
「ああ、分かってる」
痛がる顔もせずただじっと立つ。
Mの手のひらも溶け出してはいたが、Mは冷たい笑みを浮かべるだけで一向に気にしていない
「さっ マルー行きましょ」
〈あう…〉
ディックの腕を掴み防衣を深く被ったM。ディックは顔を赤く腫らしてはいたが、目の前の光景の方に驚きを覚え震えている。
移動寸前、首に掛けていた羽根を落とし二人は消えて行った

「プリセプ、何故だ?」
ばっ シュオッ
急いでTの前に立ち回復を始めるイン
「Mの異物を止められる。あれを使われると私達では歯が立たぬ」

「その分、身の危険も増えたがな」
「…………」
ひらひらと風の抵抗を受け緩やかに羽根が草地へと着地
「もう大丈夫だ。お前はジンを連れて行くと良い」


カシャ カシャ カシャ

「…ジン」
「ええ」
ジンホウは落ちた羽根を拾いハンカチの間に収めている
「……」
静かな機械音と気配を感じ木立を見るが何も無い。
荒野中心から少し離れた場所でれいりとソルムがMがいた場所を見ていた
「先行って下さい、少し調べたい事出来たので」
「ジン…」
「大丈夫ですって、もう危険は無いですし。さっ 行って下さい」
「………」
心配するインに笑いながら大袈裟に手を動かす

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