マルー・クインクエ【新人】・・・2

ヴォン
「――! T!! ここ三層近く」
「安心しろ、お前を連れて行くつもりは無い」
Tに連れられやって来た場所は見覚えのある暗の三層近くだった。
気付いたいざないは体が硬直し険しい顔になりながらも後ろを付いて行く
「防衣を渡してた暗を捕まえた」
「あれで!?」
Tの言葉に目が丸くなる
「お前に来て貰ったのは、血が必要になるかもしれないからだ」

「いざない様!?」
びくっ

警備をしていた兵士達がいざないを見て驚きいざないも驚いた
「お前から採血した血でも良かったが、ジンが渡さなかった」
「!?」



―――研究所
「せっかく苦労して見つからずに採った血液ですし、本人連れて行った方が手っ取り早いですよ♪」 アハ
白衣を着たジンホウがいざないの血が入った試験管のある部屋で笑いながらやんわり断っている



「ちょ…ちょっと待て、見つからずにってあいつ言ったのか!?」
「五本あった」
「蚊かよ!!?」
Tの内容に疑惑を持ったいざないはジンホウの顔が容易に想像でき怒る
「…とにかく黙秘した場合は頼んだぞ」
キ…
「……」
建物の扉を開け兵士が敬礼する中、Tは拘束されている男の元へと歩いて行く。
男は二人の兵士が持つ槍から発せられる痺れの法により身動きが取れず四つん這いになり顔だけをこちらに向けていた

「まんま目と鼻と口!!?」 ガーン

予想していなかった姿を目の前にいざないはショックを受ける。
男の姿はソルムの投影そのままだったからだ
「どうだ、何か言ったか?」

バリバリバリ
〈う゛に゛ゃ~~~~〉

「いえ、何も知らないの一点です」
(最近すげー疲れる…)
会話の合間も度々受ける痺れの仕打ちに男は悲鳴を上げている。
いざないは顔を下げ精神的疲労が襲ったかぐったり
「血の契約は知ってるか?」
Tが男の前で膝を曲げ目線を合わせると語りかけた
「力ある者、それか同等の血を飲むと飲ませた者の言いなりになり、その者の血筋が途絶えぬ限り永遠に継続する」
※力が逆転した場合は無効
※高等特殊法の為全員が全員覚えられるとは限らない
※血の契約以外に血を使っての違う使い方もある
「私はその法は皆無であった故、その血筋を連れて来た」
※血だけでも良かったのは血縁関係があるので、僅かばかりコントロールが出来る。その場合一滴自分も飲む
「どうする? 素直に話すかそれとも血を飲み死ぬまで自由を奪われるか好きな方を選ぶがいい」
Tの説明に目鼻口の顔からは涙と鼻水と冷や汗が同時に出ている
「――ほっ ほんとに何もしらに゛ゃー…ただ出て来た暗に上着を渡して…と……言われただけに゛ゃ――――」
「……」
四つん這いになる目鼻口の体は震え怯えている
「その渡した奴も防衣被ってて分かんねーな…」
「他に何が見える?」
〈みえ!?〉
静かに様子を見てたいざないの言葉に目鼻口はギョッとしビクついた
「俺のこれは断片的だから、そっから推理してくしかねーんだ」 じー
「…そうか」
手を顎の所に添え顰め顔で目鼻口を凝視する。
いざないの能力の一つで相手のちょっとした過去を見る事が出来る様だ
「あんまあれ(契約)したくねーんだよな―――…」
いざないの脳裏に薄く笑う口元と手に丸い物が浮かぶ
「何だ? 白いアメ玉みてーな」

びく

小さな目が一回り大きくなる
「~~~もう許してくだに゛ゃ――――防衣渡しもうしませんに゛ゃ――――」

バリバリバリ
〈うに゛ゃ~~~~〉

「…」
土下座し懇願する目鼻口。兵士は痺れの法で目鼻口の顔を上げさせた
「それ食ってからすんげー怯えたな、あんた」
「~~~~…!!!」
目鼻口は顔面蒼白、両目から大粒の涙が零れ出す
「口封じか」
「ああ、言ったらそれで最期だ」
Tが顔だけをいざないへ向け確認し、いざないも同意
「契約した所でこいつが口割りそうになった途端、こいつは終わるぞ。どうするT」
「…」
再び顔を目鼻口へ戻し考えた
「…構わない、契約してくれ。片言でも情報は必要だ」
「!」
「―――と言いたい所だが、私はそこまでの非情さを持ち合わせていない」
目を落とし項垂れる
「一層に連れて行きその者の体内を調べ服用した物を取り除くんだ」
「はっ」
〈焦った…Tがあの人みたいになっちまったのかと…〉
一瞬度肝を抜かれたいざないは独り言
「その後なら話してくれるか?」
「…………」
目鼻口も同様に驚いている

「…分かったに゛ゃ」

「防衣を配った罪は償って貰う。刑が終わったら暗で静かに暮らすが良い」

「連れて行け」
フッ
痺れの拘束を解いた兵士達は目鼻口を立たせ歩かせた
「…あんた…いい人に゛ゃ。うわさと全然違ってたに゛ゃ」
「……」
目鼻口は安堵の表情に。
涙と鼻水は垂れていたが、綻んだ顔になり兵士と並び歩き出す
「何で信じ込んであっちにいたんに゛ゃろ………これで解放されるに゛ゃ」

「あの女ミ…」 ゴボッ

目鼻口の口からモゾモゾと何かが現れ溢れ出す
「~~~いってに゛ゃい…」
モゾモゾモゾ
「いってに゛ゃいに゛ゃ~~~」
モゾモゾモゾモゾ
目と鼻、色んな器官から黒ずんだ物が出始め皮膚も侵蝕されていく
「…だれか…~~~だずけで~~~~に゛ゃ!」

バタン

何が起きたか分からず立ち竦んでいたTといざない。
目鼻口は茶色く染められ前に倒れ込む



のそ
「!?」

「…こいつは……コープス!?」
「……」
動きに見覚えのあるいざないは目を見開き驚いている

ぐおおおおお

目鼻口は目的をTといざないに決め両手を掲げ襲い掛かってきた
「火を」
「はっ」
ボッ
槍先から火が放たれ一瞬にして包まれた目鼻口は雄叫びを上げ燃えていく。
日の照り返しを浴びる二人は動く事も出来ずじっと見続けた

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