マルー・クインクエ【執行】・・・9

マルー入口付近では情報を聞いた一般人が駆け付け、今か今かと自分の番が来るのを待っていた
「すみませんっ 遅くなりました!!」
「こうですさん、丁度良かった」
れいりは深すぎた眠りから覚め急いでやって来る
「人員整理は他の子達してるので、溜まったアメをグラウンドの方に持って行って下さい」
「はい!」

〈必ず助かります、並んで下さい!〉

青ざめ震えている人々を医務員が励まし整列させていた。
グラウンドの中央には炎がアメの袋を包み煙が随分上まで伸び、それを見守るマルー二人が長い棒で火の勢いを管理している
「ここに投げてー」
「はい」
二十キロ程入っていた袋だが、れいりは重さよりも急いで運ばなければと言う気持ちが勝り必死に両手に抱え炎の中へと放り込む。
同時に二つの袋も投げられ(ソルム)、計六十キロ分の煙と炎が噴き上がったが視界が遮られマルー二人は気付かない

         *

「判明しました。五日です」
マルーに戻って来たジンホウは、ジエヌからの連絡を受け潜伏期間を伝えた
「…一日経ってるのであと四日」
「ええ」

ガラ
「抗体液だ」

ガラガラガラガラ

「ありがとうございます、テネヴさん」
発明世界で作られた抗体液の小瓶が大量に運ばれてくる。
後ろには布を羽織ったインの姿もあった
「にば、すぎな、お願いします!」
「ウス!」

ガラガラガラ

待機していたにばとすぎなが受け取った抗体液を各地へ運ぶ為速やかに出て行く



「お腹痛くなるアメ世界中の人食べちゃったんだ…」
応接室にいたディックは慌ただしい派長室の様子を不安げに眺めていた。
派長も同様お茶を飲みながら眉が下がっている
「全員取ってあげられればいいんだけど」
「……」
しゅんとなるディック。
ふとある物が視界に入り指差した
「ねえ、みちびき。あれ貰っていい?」
「では同じのを」
派長がゴソゴソと同じ物を持って来てディックに手渡す。
ディックは丸まったそれを手に取り見本として置かれていたアメ袋に近寄る
「何かするの? ディックちゃん」
「うん♥」 えっと



「幹部には伝えました」
「ありがとうございます」
派長室では夫人とジンホウの込み入った会話が続いていた
「これで四日以内に抗体液を摂取すれば防げますが―――全てが摂取したり医療車に駆け込むとは思えません」
「……そうですね………非常に辛いですが助けられる人のみ助けるしか…」
夫人は俯き表情が厳しい

「ジン―――♥」

緊張した部屋が一瞬で和むほんわか声が響き渡る
「ディックさん?」
「これ見て♥」
ディックは派長室の壁一面に大きな紙を貼り付けた
「三世界の地図ですね」
貼られた紙は発明、混溶、変化の地図。
数秒後、各場所にピカピカ光る物が現れた
マルーらくがき42.jpg
「…これは」
「えっと、光ってる所にこのアメあるの」
「!」
「マルーにあるアメから距離測ってって、地図とリンクしたんだ♥」
見本のアメを掲げ簡単に説明するディックは、地図の光ってる部分を見てはしょんぼり
「こうして見るとまだあっちにもあるね」
「……」
夫人とジンホウは言葉を失い、ただディックを眺めていた
「ディックさん! やはりあなたは素晴らしい!! この地図があれば全員救う事が出来る!!」
「ほんと?」 わー♥
ジンホウが大喜びしてディックの両腕を掴む。
ディックはジンホウの喜び具合に嬉しそう
「おかち夫人、現地で取り出したアメは」
「すぐ焼却処分にしています」
「では取り逃した分は見つける事の出来る彼に動いて貰いましょう」
「…彼は体力がありませんので他幹部も付ける事になりますが」
「テネヴさんに伝えて兵を派遣して貰います」
「お願いします」
慌ただしく動き始める二人。
ディックは顎に手を寄せ再度不安げに地図を見ている

         *

グラウンドではれいり他マルーが駆け足で袋を運んでの繰り返し。
各地域に位置した幹部は連絡を取り合い、マルー一般人員は人員整理に忙しい


各々が各々自分の持てる能力を出し切り恐ろしい結末を迎えまいと奮闘していた


マルーに近い街も摂食者で溢れ、担当していたるうりんはパグを抱え見守っている


情報を知らない人用に飲料水には抗体液の投下が続く

         *

ピピピピ

「ヘレデム?」
『ねえ~~~程じゃなくて暗が襲撃して来たよぉ』
「え!?」
人手不足の為ヘレデムも参加していた
『その暗は』
「捕まえたぁ」
白衣を脱いだヘレデムはコギャル風スタイルで心なしか楽しそう。
久々の遠出でテンションが高い
「動かれるとヤだからギリギリまで血抜いたよぉ」
ヘレデムの足下には襲撃してきた暗二名が紐でぐるぐる巻きにされ、二人共顔面蒼白で気絶していた。
ヘレデム一人で始末した様で、周りのマルー他取り締まり隊はびっくりしている
「…インに行って貰いましょう」
『えっ!! ここまで来てインはないぃ!!』
「僕が責められます」 ピッ
『ま…』
有無を言わさず通信を切る
「今ヘレデムがいる場所…」
ディックお手製地図と照らし合わせ確認
「……」
何かを気にして暫く眺めていた

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