マルー・クインクエ【依頼主】・・・1

――研究所

「いらっしゃい、いさい」
「博士、いらっしゃい」
手を振ってやって来たいさいに笑顔で出迎えるジエヌとジンホウ。
いさいはそのままジンホウと一緒に部屋の中へと入っていく

コロン

「…おや、又それですか」
「これで七個目だし」
台の上に置いた物は渦状になった棘のある異物だ
「場所はいつも変化界周辺…」
「ああ。この前のアメも大変だったんだろ? 何か気になってよ、テネヴに頼んで変化の奴らにも探せる様にして貰ったし」
「そうですね」
受け取ったジンホウは異物を袋に入れ密封。
いさいは腕組みし溜息を漏らす
「博士、すぐ発たれます?」
「ん?」
「“例の件”で伝えたい事がありまして」 こちらへ
「!」
奥の扉を開け個室へと招く。
いさいは落ち着きを無くしリュックを角にぶつけながら入って行く

「――で、どうなんだ?」
「うーん…僕が観察する限り」

「十中八九そうですね♪」 アハ
「!!!」
溜めてからのジンホウの明るい答えにいさいは愕然
「最近は僕や特にソルムさんが彼女の前に現れた事によって隠れてた所が見え始めてます」
「……」
台に置いた両手に力が入り顔面蒼白
「マルーにいる時は遭遇率高いでしょうし、さりげなく護ってたんでしょう。それがソルムさんの出現で必要なくなったんで戸惑いが生じ」
ジンホウは終始笑顔
「多分妬いてますね。幸か不幸かこれ又寝泊まる場所も隣同士、一緒にいる二人を常に見る事になる」

「それでも必死に隠そうとしてるのがいじらしいと言うか」 くすくす
「…笑ってる場合でないし……」
対照的にいさいは汗だく
「や…やっぱりあいつを二層に無理矢理連れてくしか…」
「まあまあ落ち着いて。唯一の救いがれいり君気付いてないんです」
頭を抱えて非常に困り出すいさいに再びジンホウの話が続く
「いざない君は“いじわるな人”でインプットされてるので、いざない君が行動を改めない限り明の性質上覆す事は不可能です」
「…」
「他、兵二人を部下に置く事によって壁が増えましたし」
「…そういやどうなったんだそれは」
「連絡が入らない所を見ると進展無いですね。テネヴさんに聞くといざない君の能力で気付かれてる様ですし、対策されてる可能性高いです」
「あの能力厄介だし…」
「――ま、彼女には現状維持で側にいて貰います」


マルーでは仕事中だろうか、一丁達幹部の後ろを忠実に付いて行くアドとオフィがいる。
つかず離れずいざないの後ろを歩いていた


「後、面白い事にれいり君の他に仲の良い女性がマルーにいたんです」
「本当かっ」 ガタッ
新しい報せに椅子から身を乗り出した
「変化界の女性なんですけど」
「その嬢ちゃんなら変化するだけで程だし、その嬢ちゃんでいい! 早く子供作ってくれ!!」
「それがですね」
側の棚まで歩き書類を探す
「いざない君の好みじゃ無いんですよ♪」 えっと、これだ
「は?」
ジンホウの動作を目で追い顔を一気に動かす
「研究所にいる間、色んなタイプの女性の本をいざない君に渡してたんですけどね」
「…………」
「いざない君接するのはダメでも見るのは好きなんです♪」
一枚、二枚と目当ての書類を数えて手元に重ねていく
「――で、見る分にはどの女性でもいいんです。女性に関しての知識は僕よりありますし」
「…」
(こんな形で歪んでたし…)
いざないの性質に唖然
「それでこっそりデータを取ってました。やはり好みがある様で、一回見てそれきりと言う本もあったのです」
「……」
「その結果“女性らしい体型、かわいい寄りの美人”が良いみたいですね。顔はそこまでのこだわりは無いですが、少女体型はダメな様です」
データの紙を広げいさいに見せる。
いさいはほぼ無言になっていた
「特に変わった性癖も無いですし――ま、普通です」
〈ほとんど置いていったからなー。少しずつ持って行ってあげないと、好きな本だけ〉
ジンホウの独り言もしっかり聞き取り言葉も出なくなったいさいは冷や汗しか出ていない
「話を戻しますがその変化界の女性、少女の様な体型なんです」
「!!」
「残念ですが女性として見てないですね。友達か仲間の感覚でしょう」
椅子を倒しそうな程の勢いで立ち上がったかと思うと再び座りいさいは頭を抑え項垂れた
「……ジン…何か手ないのか?」 頭痛くなってきたし
「…まずは恐怖症を何とかしないと先に進めない気がしますが」
顎に手を添え思考を巡らすジンホウに見えるが、何処まで考えてるか不明
「ヴェレがせっかちだし…後五、六年待ってりゃこんな事には…」 寿命長いくせに
「コンティがいざない君に会わせてくれって最近執拗になってきてて」
「……」
「今そんな事をすると余計逃げるし悪化しそうで困ってるんですよ」
「積極的な女性もダメみたいですし、かと言って彼女は…打つ手無しの様ですし」
大体話の大筋を終え書類の後片付けを開始
「いざない君の側近と言う名目を頂いてるので様子を見に行くついでに考えますか」
「…頼む」
いさいは立ち上がり気落ちしながら個室を後にした

         *

――派長室

「んで、いなかったよ♥」
屈託のない朗らかな笑顔のディック
「――と言う事です」
『もっと探してくれ~~~!』
『隅々まで探したのか―――!?』
夫人の扱う大型機器から喚く一丁とソノの声
「物作り仲間に聞いて全部回ったよ。手掛かりも見つけたんだ♪」
『!』←一・ソ
お茶飲み相手の派長は冷や冷やでディック達の会話を聞いている
「あの作品は名前あったから各地の展示室にも行ったんだ♥」
他の明人の案内の元ディックは展示室をワクワクしながら見ていたのを思い出す
「そしたら三百年くらい前の作品で一度は展示されたけど本人が持ってったんだって」

「名前も分かったから会いに行ったけど、もう誰も見てないって」
会いに行くディック。しかし首を横に振る明人達だけだった
「きっと大戦時に故人になったんだと思うよ。だから良い物だし大切にして♥」
『△☆〇▢◎~~~~!!』
ピッ
「ありがとうございますD、これであの二人も諦めがつくでしょう」
解決したと夫人は速やかに通信を切った

ルルルル カチャ
「はい」

事務所からの連絡対応を始める夫人
「みちびきさん、依頼者に会って来ますのでDをお願いします」
「うん」

         *

「お待たせしました、始めにお名前と依頼内容を」
相談室にきびきびとやって来た夫人は依頼者と面通しして対話が始まった
「プルイベレと言います。まず自分の素性を言いますと、暗の混ざりでミクロベの子です」
「!!」

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