マルー・クインクエ【動き出すクインクエ】・・・1

ゴオオオオオオオ

「…正気か?」
「絶対死ぬぞ」


場所は分からない―――深き地より昇り上がる“風”を目の前に準備運動をするいさいの姿があった。
いさいの側にはカジュアル軽装の背の高い男が見守り、その遥か後ろの方で二人の門番が柵を間に挟み不安そうに様子を窺っている
「なぁーに、助太刀いらねーし。んじゃ、ちょっくらいってくらあ!!」 キュポ
全身を雨合羽風衣装で覆い片手に収まるくらいの小瓶の蓋を開けると、楽しげにいざ行かんと一歩前に踏み出した

「……」

「…ちょっとは手伝ってくれるよな?」 俺法使えねーし
「……」
側にいた男の顔を見て愛想笑い。
男は無言でいさいを見ては困惑している




―――発明世界・ルミア
ウィ――――
ボッサボサ頭で小さな丸眼鏡、白衣を纏った研究スタイルのジンホウが久々に施設内へとやって来た
「あれ? ゲレフさーん?」
いつもは入ってすぐ目の前に座っているゲレフの姿が見えず、しばらく探している
「………」 ピピピピピ…
確実にいない事を知ると壁に取り付けてある認証板を素早く押し小さな扉を開く
「調子はどうですか?」

「ディックさん」

扉の向こうには小さな部屋の中で拘束されチューブやコードを体中に張り巡らされた人物がいた。
髪は美しい金色をし、緩く癖のあるストレートを胸元まで伸ばしたディックなる人物は眠っていたのか名前を呼ばれゆっくりと瞳を開きジンホウへと顔を動かす
「何か欲しい物があったら言って下さいね」
座っていたディックの前で跪き太ももへ顔を埋めるジンホウ。何気にジンホウの頬は熱を帯び心地よさそうにしている。
ディックの手が優しくジンホウの頭を撫でだした

「…彼は あの子達を連れて行ってしまったよ」

「……そうですか………では、ディックさんがここにいる理由は無くなりましたね」
言うが早いかジンホウはディックの拘束を次々外し自由になったディックは立ち上がる
「どうされます? 戻りますか?」
フル…
「あの子達が気がかりなんだ」
静かに首を横に振る。立ち上がるとジンホウとほぼ変わらない程の背丈があり美しさも感じられる
「……でも、ここに居る訳にもいきませんし」
ジンホウは腕組みし考えた
「じゃ 僕の家に行きましょう」
「いいの?」
「ええ、その方が都合が良いでしょうし」
自分の着てた白衣をディックに羽織り乱れた服装を整えている
「そうと決まればディックさん用に改造しないと、服も用意しますね」
「でも私、何も出来ないけど」 料理とか
「僕が家にいる時添い寝して下さるだけで結構です」 他は僕しますので
うっとり顔でディックを見つめる
「それで良ければ喜んで」 ニコ
問題的な発言をした様なジンホウだったがそれを気にする訳でもなくディックは受け入れる
※注 ディックは♂
「今防衣持って来ますのでこの場所から絶対出ないで下さい♪」
「うん♥」
二人の空間がバラ色に染まりイチャイチャしている様に見受けられるが、見なかった事にしておこう

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