マルー・クインクエ【戦人】・・・10

重い音が消え静かな時が経過した


「…五発当たったか」
砂埃が地面に落ち着き、いざないの前にはもう一人の人影があった
「お前の武器が大きかったのが幸いした。カエデス」
いざないの盾となり槍をその身に受けながらも毅然とした姿で立つTがいた

「難は逃れたか」
「…!!」
いざない達が被弾してなかった事にれいりは力が抜ける

「…T、どうみても瀕死だったろ」
「そんな悠長な事していられぬだろ」
Mに受けた攻撃が酷く、治りかけた傷も再び裂け出血している。
いざない同様立っているのがやっとの状態で二人共呼吸が荒い

「スクルプトレッド!」
シュオッ
駆け付けたインがジンホウを抱え暗の回復を傷の深い順から対処し始めた


「…イン?」
「…全くお前は…死ぬとこだった!」
目覚めたジンホウに叱るイン
「インがいなければこんな事しませんよ」
「………」 ぎゅう
けろっとした笑顔のジンホウにインは心苦しくなりジンホウの頭を自分に寄せ抱擁した
「……」
(甘々だな…)
いざないは二人のやり取りを静かーに見ている


「フフフ…次はプリセプか…………愉快だ…! 非常に愉快だ!!」
動けるほど回復したカエデスは足を引き摺りジワジワ法陣の壁の外へと歩き出す
「お前達で儂をとことん楽しませてくれえっ!」
近づくカエデスを静観するTはカエデス後方からやって来た蠢く物体に気付く

くるくる くるっ

「…は………?」
赤い紐状の物がカエデスの指や足に巻き付き動きを止められた

まき まき まき まき

紐状の物は次々とカエデスに絡まり始める。
いざないはカエデスに纏わり付く紐に硬直、インも固まりジンホウは『?』
「…あれ………髪?」
「女帝だ」
「え゛!?」
赤い紐が髪に見えたれいりはソルムの答えにびっくり

「~~~…たっ!!―――足りぬ……儂はまだ足りぬ!! 儂は~~~~―――――!!」
まき!!
顔にも髪が巻き付くと口を塞がれ声も出なくなる

「~~~~~~~~~」
ズズズズズズズズズズ

赤い髪で繭の様に覆われたカエデスは抵抗も出来ず引き摺られていった

ズルズルズルズルズル…………トフ

「……」
視界にはカエデスも髪も無くなり底無しの穴からは靄が沸いている。
いざないは硬直したまま動けない

『いざない~』

ぞっ
ザザザザザッ!

底から響くいざないを呼ぶ声に全身が凍り付き摺り足で五百メートル法陣から距離を取った
「女帝はスパルタなんですか? いざない君の怯えっぷりが凄いですが」
「……」
インに聞くが軽はずみな事は言えず無言
「陣が開いたら女帝もすぐ駆け付ける筈だった。随分時間が掛かった…ファルチムは一体どこにいた?」
Tが一息吐きファルチムの居場所に疑問。
きっと女帝の目の届かない場所にいたのだろう
「あ…あの人が来るって何で言わなかったT!!」
「言ったら陣を作る機会を逃すと思った」
「……そ…そーかもしんねーが心の準備っっつーもんが…!!」
まだ青ざめ体の震えが治まらない
「~~~ヤベェ、耳に残る~~~~数ヶ月ねれね―――――!!!」 ぐあああ
とうとうパニックに陥った
「…自分のお母さんなのに……何でそこまで…」
「女帝は手段を選ばぬ」
いざないの動揺振りにれいりは不思議そう。
ソルムは終了した事を悟り自分の髪に鎖を巻き付けている
「刃向かった相手には明の道具で弱き部分を探られ精神をきたすまでいたぶり続ける」
「~~~~~!」
「ニューヴス……いざないはされた口か?」
れいりは口を大きく開け青ざめた

「ともあれ」
Tは誰もいなくなった法陣を眺めている
「一人、暗に還せた」

ルオオオオオオオ

天にまで上がる光と共に陣が消えて行く。
インに抱えられジンホウも立ち上がる
「………こんなのが後二人…」
反対にいざないは力が抜けどさと座り込んだ

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